いじめは生存戦略だった!? 進化生物学で読み解く生き物たちの不可解な行動の原理

概 要

嘘・浮気・虐待・いじめは、道徳的に「悪い」行為とされています。しかし、これらの悪い行為はヒトのみならず動物界でもありふれており、進化の観点から考えると道徳的に悪い行為も「生存戦略」として考えることができるのです。本書は、進化生物学の最新の知見をもとに、いじめや児童虐待などヒトや動物の不道徳な行動の裏にある生存戦略をわかりやすく解説します。ヒトや動物の不合理に見える行動の裏にある本当の理由がわかります!

著者 小松正
価格 本体1500円(税別)
ISBN 978-4-7980-4818-5
発売日 2016/12/17
判型 四六
ページ数 304
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目次

第1章 ヒトの不合理さは進化の産物だった!?【意外と知らない進化学の基本】

1 ヒトの不合理な行動は、科学で解明できるのか?

知能が発達しているのに、不合理な行ないもしてしまう、ヒトという生きもの

ヒトの行動も、進化生物学の観点から理解できる

うつ病も、ヒトの進化の結果だった!?

一夫一妻制も、進化の結果かもしれない

不合理に思えるさまざまな行動が、進化の観点から読み解けるようになった

2 そもそも進化とは何か?

進化には「世代を超えて伝わる」ことが必要

進化にもいろいろな場合がある

進化は突然変異から始まる

進化学は「突然変異がどうやって集団全体に広まるか」を研究する学問

3 生きものはどのようにして進化するのか?

干ばつに襲われたガラパゴス諸島で起こったフィンチの進化とは?

フィンチの変化は自然選択で説明できる

自然選択においては「生存率」と「繁殖率」が重要

競争で勝つことだけが生存戦略ではない

4 ヒトにも自然淘汰の力は働いているのか?

「自然淘汰による進化」は現代のヒトには生じていない?

ヒトに自然選択が働いていることを示唆する研究がある

ヒト集団の変化のすべてが自然選択によるわけではない

5 性格も進化するのか?

性格も遺伝子の影響を受ける

欧米人より日本人のほうがおとなしい理由は遺伝子にあった!?

遺伝子の研究が盲導犬の育成にも役立つかもしれない

家畜がおとなしい性格なのも、進化の例だった

6 進化だけですべてを説明できるのか?

2つの説明、どっちが正解?

生きものの性質は複数の観点から説明できる

7 なぜヒトではなく動物の行動から学ぶのか?

ヒトを対象とした実験には倫理的な制約がある

心理学では動物実験によりヒト行動の基本を研究してきた

ヒト特有と思われる性質も、他の生物の研究から紐解ける

8 やはり人間も動物なのか?

特別なのはヒトだけではない

「進化」という観点から、ヒトの心理や行動を捉え直す研究が進んでいる

第2章 嘘つきは進化の始まりだった!?【嘘と駆け引きの進化学】

1 嘘をつくのは、ヒトだけなのか?

動物も嘘をつく

動物の欺きは大きく2種類に分かれる

2 動物は、どのような嘘をつくのか? ①意図性のない戦術的欺き

エビだって「はったり」で争いを回避する

3 動物は、どのような嘘をつくのか? ②意図性のある戦術的欺き

類人猿は、意図的に嘘をついている

チンパンジーは、エサの在処を隠すために他個体を騙す

チンパンジーは、エサの存在を隠すために「隠れ道」を通る

チンパンジーは、お芝居をして石器をだまし取る

チンパンジーは、エサをもらっていない「ふり」をする

嘘は知性の進化を反映している?

4 動物は、どのような嘘をつくのか? ③いろいろな欺き行動

嘘をつくのは、類人猿だけではない

オマキザルは、「敵が来た!」と仲間に嘘をついて、エサを確保する

オウチョウは、他の動物の鳴き真似をして、エサを奪う

ジュウイチの雛は、翼の色で仮親を騙して、多くのエサを運ばせる

ヨーロッパカッコウの雛は、鳴き真似で仮親を騙して、多くのエサを運ばせる

コチドリは、ケガをしたふりをして、敵を巣から遠ざける

5 動物は、どのような嘘をつくのか? ④いろいろな擬態

形を真似るだけが擬態ではない

隠れて目立たなくする「隠蔽的擬態」

有害な生物の外見を真似る「標識的擬態」

にせの頭で敵を騙す「自己擬態」

メスに化けて他のオスのなわばりに潜り込む「メス擬態」

音真似で身を守る、ヒトリガの「音の擬態」

メスのフェロモンと同じ物質を出して、騙されたオスを捕食する、ナゲナワグモの「化学擬態」

匂いで偽装して仲間のふりをする、アリヅカコオロギの「化学擬態」

メスに化けて、騙されたオスを捕食する、カラシンの「攻撃擬態」

中程度に有害な種の外見を真似た、サンゴヘビのバンド模様

6 嘘をつくのは悪いことなのか?

嘘が進化を加速させる

昆虫の擬態は鳥との共進化の産物

光学迷彩を使いこなす深海魚と、それを見破る暗視ゴーグルを備えたイカの競争

7 「目は口ほどにものを言う」は本当か?

表情は文化に関わらず、人類共通のものだった

ヒトの笑いには2つの進化的起源がある

嘘は微表情で見抜ける

8 他者の心を理解できるのは、ヒトだけなのか?

知性は、他人とうまく付き合うために進化した

他人とうまく付き合うためには、嘘が必要だった!?

上手に嘘をつくには、他者の心の状態を推測する必要がある

大型類人猿も他者の心を理解できるかもしれない

9 なぜヒトはゴシップが好きなのか?

言語の成立には信頼が必要

言語の起源は毛づくろい?

会話は情報伝達ではなく、コミュニケーションのために生まれたかもしれない

第3章 一夫一妻制は自然選択の結果だった!?【浮気と結婚の進化学】

1 一夫一妻制の動物でも浮気はするのか?

適応的であることと、道徳的であることは別物

動物界では、浮気は珍しくない

鳥類の場合、種によっては3割が「浮気相手の子」

哺乳類でも、1?3割は「浮気相手の子」

2 婚活は生きものを進化させるのか?

オスは交配相手の獲得に、メスは子育てに、労力の多くを費やす

生物は、配偶者の獲得能力が高くなるように進化する

メスを奪い合うための競争が、オスを進化させる

メスの気を惹くためにも、オスは進化する

3 嫉妬にも進化学的な意味はあるのか?

浮気は繁殖に有利な戦略だった

男が「身体の浮気」、女が「心の浮気」に嫉妬する理由

4 なぜ生きものは、生存には役立たない能力や見た目を進化させるのか?

「生存に役立たない性質」が進化したのには理由がある

ヒトが芸術や学問を発達させたのも、性選択の結果かもしれない

無駄な形質を持てることが、魅力につながる

美術も「異性を喜ばせるための技能」として生まれたものかもしれない

お金持ちが慈善事業やボランティアに積極的なのも、進化の結果かもしれない

5 なぜ一夫一婦制が生まれたのか?

実は一夫一婦制の哺乳類は少数派だった

霊長類に一夫一婦制の種が多い理由はどれだ?

一夫一婦制が生まれた理由は「子殺しの予防」だった!?

一夫一婦制が生まれた理由は「メスの行動範囲が広いから」かもしれない!?

「両親による子育て」は一夫一婦制が生まれた原因ではないが……

6 なぜヒトは一夫一婦制になったのか?

ヒトにとって一夫一婦制は当たり前ではなかった

ヒトが一夫一婦制になったのは、社会が大きくなったから

7 貞操観念は文化か、本能か?

「ハーレム禁止」に男が賛同する理由

宗教や道徳さえも、進化の産物と考えられる

良心の起源も動物と連続している!?

良心は世代を超えて進化した

道徳を科学の対象とする時代がやってきた

第4章 子殺しは必要なことだった!?【児童虐待とDVの進化学】

1 育児放棄は異常な行為なのか?

虐待や暴力も、進化学で説明できる

動物も普通に育児放棄をする

ジャイアントパンダの母親は、双子のうち1頭しか育てない

ジャイアントパンダは栄養摂取の効率が低い生きもの

双子のうち1頭は「スペア」

2 自分より他者の利益になる行動に意味はあるのか?

親子間でも利害が一致しないことがある

「他個体の利益となる行動」は消えてしまうはずだが……

自分の子供を作らずに女王の世話をする働きバチの謎

血縁があれば遺伝子を共有している

自分を犠牲にしても血縁者のために行動するほうが有利なケースもある

自分の子供の数ではなく、自分の遺伝子のコピーの数が基準となる

3 なぜ育児放棄や兄弟殺しが起こるのか?

親と子とでは、最適戦略が異なる

育児放棄は、親にとっては利益を最大化する手段だった!?

「兄弟殺し」を親が見過ごす理由

4 DVカップルはなぜ別れないのか?

DV男と別れない女には、進化学的な背景があるかもしれない

状況を受け入れたほうが有利になるケースがある

5 動物の子殺しにはどんな意味があるのか?

同種同士で殺し合うのは、ヒトだけ?

「昔の男」の子供を殺すサルがいた

子殺し行動は、異常行動ではなかった

旧アルファオスの子供を殺すことには、理由があった

ライオンも子殺しを行なっている

6 ヒトの子殺しも、動物と同じなのか?

ヒトの子殺しには文化的要因も影響

母親による子殺しや育児放棄には、特別の理由がある

日本での母親による子殺しの多さは、社会に原因がある

第5章 いじめは生存戦略だった!?【いじめとひきこもりの進化学】

1 なぜ「いじめ」は起こるのか?

そもそも「いじめ」とは何か?

集団を作る生物においては、いじめは生じて当然

動物の世界には、いじめを抑制するメカニズムも存在する

2 何がいじめを抑制するのか?

序列がはっきりしている集団では、いじめは少なくなる

ニワトリの世界にも序列がある

ニワトリは序列に応じて振る舞いが変わる

いったん序列が決まると、順位がほぼ固定される理由

3 集団の中の序列はどうやって決まるのか?

ニホンザルにも順位制が存在する

優劣順位は身体能力だけでは決まらない

優劣順位の存在は、いじめの抑制につながる

4 序列はどのように保たれるのか?

子供は母親との共同生活を通して社会的ルールを習得する

順位制のルールを破る個体は攻撃される

5 何がいじめを激しくするのか?

競争が激しくなると、いじめも激しくなる

自然な状態でも、競争が激しくなれば、いじめも激しくなる

なぜチンパンジーにはいじめがあり、ボノボにはいじめがないのか?

6 なぜ仲直りが大切なのか?

動物も、喧嘩の後は仲直りをする

仲直りもまた進化の産物だった

7 環境を変えればいじめをなくせるのか?

動物でも、状況の変化により攻撃性がなくなった例がある

動物研究の結果をそのままヒトには適用できないが……

8 「不登校・ひきこもり」は本当に悪いことなのか?

ひきこもりの多くは抑うつの結果

医学にも進化学の視点は役立つ

抑うつは有害なだけではない?

サルも社会的ストレスで抑うつになる

脳内物質セロトニンの濃度が行動を変える

9 なぜ生きものには抑うつが必要なのか?

抑うつ状態が生存に役立つ理由

すなおに負けを認めれば、抑うつは消える

抑うつに関しては、さまざまな説明がある

第6章 進化学は差別を生み出す学問だった!?【進化学と倫理の関係】

1 進化学は、生物の専門家のためだけの学問なのか?

進化の研究が論争を引き起こした

「動物は種の利益にかなうように進化する」と思われていたが……

動物の行動は固体にとって利益となるように進化していた

進化学が生物学者以外にも注目された理由

2 「自然だから良いこと」という考えは正しいか?

「~である」という事実と、「~すべき」という価値観は別物

殺人の説明をしても、殺人を肯定することにはならない

進化学で説明できるからといって、倫理的に望ましいとは限らない

3 進化とは、良いことなのか?

「進化」と「進歩」は同じような意味で使われるが……

進化はあくまで変化であり、進歩とは限らない

4 昔の人たちは進化をどのように考えていたのか? ①ラマルクの進化観

かつては生物学者も、進化と進歩を同一視していた

生物は下等なものから高等なものに進化する!?

生物は自身の努力で進化する!?

今でも進化は誤解されがち

5 昔の人たちは進化をどのように考えていたのか? ②スペンサーの社会進化論

社会も生物と同じように進化する!?

進化学を人間社会に当てはめた理論は、間違えがち

6 自然主義の誤謬の実例 優生学と優生政策

自然を管理し、より良い世界を作り出そうという考え方

天才は人為交配で作り出せる!?

優生政策は「自然主義の誤謬」そのもの

7 人に関する研究は差別を生み出すか?

人に遺伝的な違いがあると認めるのは悪いこと!?

人間の性質は遺伝子のみでは決まらない

問題解決には要因解明が不可欠

8 人はなぜ進化学的な事実と倫理を混同してしまうのか?

意思決定の2つのシステム

その場の判断には認知バイアスが生じやすい

その場の判断はヒューリスティクス

9 人はなぜ間違いを認められないのか?

「間違いかもしれない」と感じるとストレスが生じる

人はさまざまな方法で自分を納得させて、ストレスを減らそうとする

いくら説明しても納得しない人がいるのはしかたがない

10 人は勘違いをなくせないのか?

偏見を持ちやすいのも、進化の結果だった!?

認知は、生存や繁殖に有利な方向に偏る

男が女の態度を勘違いしがちなのも、進化が原因だった

誤解や偏見、勘違いも、進化学の研究テーマになる

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